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お釈迦様の生涯

釈尊の願い(113)

イラスト・山中一正

仏陀の子

仏陀にはラーフラという子がいた
仏陀が悟りを開き釈迦国へ帰ったとき
妻であるヤソーダラーはラーフラに言った

あなたの父は多くの財をもっていますから
父にあったらその財を
譲ってくださいお願いしなさいと

ラーフラは父である仏陀に会うと
父親のここちよさを思ったが
母親の言われた通りのことを仏陀に告げた

仏陀はその願いを聞いたとき
財を欲しがる欲望は苦しみを招くと思い
真なる財である法を授けようと
ラーフラを十大弟子の一人であるサーリプッタに預け
出家させてしまった
このときラーフラは九才であったという

仏陀の子であることから
出家仲間から
ラーフラは嫉妬を受けいじめられることもあった
また生まれの良さや家柄を自慢して
横柄な態度があった
甘やかされて育ったのかもしれない

そんな我が子を仏陀は
特別には扱わず
傲慢な思いと欲望を捨て去ることを何度も説いた

無相の思いを修めよ
心にひそむ傲慢な思いを捨てよ
そうすれば心静まったものとして日を送れるであろう

愛欲があればきたないものでも清らかに見える
その美麗(びれい)な外形を避けよ
身は不浄であると観じて心を静かに統一せよ

ラーフラは仏陀の言葉を真剣に受け止め修行に励んだ
そして十代弟子の一人に数えられる人物となった
ちなみに母のヤソーダラーも後に出家している