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お釈迦様の生涯

釈尊の願い(110)

イラスト・山中一正

仏陀と父王の会話

父王シュッドーダナが仏陀を
王宮(おうきゅう)に招待したとき
仏陀は家々を順に托鉢して行かれた

王はこれを見て
食物は王宮に充分ある
乞食までしなくてよいではないか
民家を乞食して歩くことは
父王を辱しめることだ

仏陀は言う
托鉢は我が祖先からの立派な遺法であると
王は 自分たちの祖先には
乞食をして歩くような人は誰もいない

私は法の祖先としての
過去仏を言っているのであって
釈迦族の祖先のことを言っているのではありません
と仏陀は答えた

あなたは昔 宮中にいて
多くの兵士に守られていたが
今は山野にいるという 恐れはないのかね

聖者は悟りという安らかな場があります
何の怖れもありません

あなたは昔
金で飾られた眠れる所を持っていた
山野は草木のみ 安眠はできまい

解脱という安らぎを寝具としていますから
熟睡して しかも喜びに満ちています

昔 象や馬に乗って移動していたが・・・

私は今 神足(じんそく)の車があり
勤め励むことで移動しています
どこの地を行くとしても
煩悩の棘(とげ)に妨げられたことはありません

仏陀は常に法の眼をもって会話を進めた