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お釈迦様の生涯

釈尊の願い(99)

仏陀の衣

もう一人の優秀な弟子が
仏陀が道を説き始めた初期に入ってきた
仏陀よりも少し若く
やがて仏陀亡き後に教団を背負い
仏陀が説いてきた教えをまとめていく仕事をする
その名はマハーカサッパ(大迦葉・だいかしょう)

彼はたいそう裕福な家に生まれた
小さいころから精神的なことを重んじ
やがて出家をしたいと思っていた
両親はそれを止めさせようと
美しい女性バッダカピラーニと結婚させた

不思議なことに
お互いに出家の意志強く
結婚しても夫婦の交わりもなかった
やがて両親が亡くなり
世の無常を感じた二人は出家の旅に立つ

妻であったバッタカピラーニは
仏陀の教団が尼僧を受け入れるようになって
仏陀に帰依し重要な働きをする

一方のマハーカサッパは
仏陀釈尊のうわさを聞き
一人 樹の下で坐禅瞑想していた出家者を
一目見て仏陀と観じ教えを請うた

実は仏陀は
マハーカサッパの来ることを事前に察知し
弟子一人も伴わないで彼をそこで待っていたのだ

仏陀は「カサッパよ」と呼びかけ
修道実践の道を説いた

マハーカサッパは仏陀に自分の新しい衣を差し上げ
仏陀が着けていた衣(糞掃衣・ふんぞうえ)をいただく

後に師匠の法を継ぐことを
禅では「衣鉢(えはつ)を継ぐ」というようになるが
仏陀から衣をいただけるというのは
稀有のことであり 縁(えにし)の深さを思う