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お釈迦様の生涯

釈尊の願い(88)

神通力(じんずうりき)の力

火堂に入った仏陀に
火をふきかけ殺そうとした毒龍
一般の人が入ったらおそらく死んでいたであろう

しかし仏陀は
あわてず神通力(法力)を使い
火界三昧(かかいざんまい)を使って
毒龍と同じように火を放った
その火は毒龍に勝って龍をたじろがせた
不動明王が身体中から火をむらむらと放ち
邪を蹴散らすのに似ていよう

その火の威力に驚き油断をみせた毒龍に
仏陀は次に慈心三昧(じしんざんまい)に入り
優しさと愛の光を放って毒龍の邪心を取り除いた
毒龍はすっかりおとなしくなって
小さな蛇に戻った

仏の名に10通りの呼び方がある
仏陀にはさまざまな力があるという意味だ
そのなか調御丈夫(じょうごじょうふ)という呼び方がある
悪を調伏(じょうぶく)する
力のあるすぐれた人という意味だ
調伏とは邪や魔を神通力で破り去り
二度と悪を犯さないように改心させる力のことである

仏陀はこのとき神通力を使い
毒龍に潜む魔障(ましょう・悪魔のさわり)を払った
神通力は奇蹟をも起こせる力だが
カサッパに対し3500の奇蹟を起こしたという

当時 本物の聖者であると断定する基準に
この神通力があった
悟りを得た証拠として
発すれば消えてしまうような教えの言葉でなく
眼に見える奇蹟を人びとは信じやすかったのであろう

その奇蹟を起こすことのできる力をやがて隠し
心を養う教えの尊さを説き続けた仏陀の思いを
私たちは察しなければならない