今月は「憑きもの」についてお話しします。
{『日本迷信集』今野圓輔著 河出文庫を参考}
この憑くという字は、
「よりかかるとか、もたれかかる、すがる」という意味があります。
何かの霊が憑くとか、昔ではキツネ憑き、タヌキ憑き、
あるいはヘビ憑きなどと、よく言われています。
ある芸能人が、帰り道、
タヌキ(だと思いますが)が、事故にあって死んでいた。
可哀そうに思って、そのタヌキを拾い、
近くに穴を掘って、墓をつくり、家に帰ってきた。それを知らないで、玄関で迎えた奥さんは、
「あなた何か憑いている。ちょっと待って」といい、
火打石(だったと思います)をもってきて
「カチ、カチ」と旦那さんに向けて打った。
するとそのタヌキの霊が離れていった。後で、旦那さんから詳しい話を聞いた奥さんは、
「やはり」とうなずいた。
この奥さん、少し霊が見えるよう・・・。
そんな会話をテレビで見たことがあります。
今野さんの本にも、こんな例話が載っています。
今野さんが学生のころの話だそうです。
青森県の津軽半島へ民間の巫女(みこ)を調査した時だそうです。
この付近では巫女をイタコと呼んでいたようです。
このときの巫女の仕事は
「口寄せと言って、生霊や死霊を呼び出して、その言葉を世に伝え、
あるいは病気の原因を探り、行方知れずになった者や失せ物を占ったりする」
そんな仕事をする人です。
ヘビを描いた小絵馬を持ったおばあさんと道連れになって、
こんな話を聞いたというのです。
そのおばあさん、病気を患い、イタコに占ってもらったのです。すると、
「おまえは、道端で半殺しになったヘビを見たとき、
かわいそうになあと思ったことがあったろう。
それで、そのヘビがお前にとっついてしまったのだ」
と、言われたそうです。
そのおばあさん、そう言われて、
「そんなことがあったかもしれない。
だからこの病気はお医者様にかかっても治らなかった」
と言ったそうです。
よくペットを飼って、死んだら、家の内には埋めるなということをいいます。
あまりにもペットを恋しく思い、死んでも忘れないでいると、
そのペットが行くところへ行けないで、その家に災いを起こしやすい、
ということが言われています。
今もこんなことがあるかもしれません。