今月は「塩と清め」についてお話し致します。
塩はいつも清めのために使われています。
古くから、人びとは海水で身を清めることをしていました。
これは「潮垢離」(しおごり)といって、海水を全身に浴びて、
身や心についた垢(あか)、すなわち汚れを取り、
神仏に参詣していたのです。
『古事記』などにも、イザナギが黄泉の国から帰ってきたときに、
その汚れを祓うために、禊(みそぎ)といって水で身を清めたのは有名な話です。
仏教でも沐浴(もくよく)といって、
身体をきれいにするために、水で身を洗っていました。
身を清めて、神仏にお参りしたり、
神仏の加護をいただける準備をするわけです。
その一つの儀式として塩が使われてきました。
たとえば、新しく家屋を建てるのに地鎮祭を行います。
その供え物の中に塩があります。
地鎮祭は、家屋を建てるその土地の神様を鎮めて、
障りがないようにと願う儀式ですが、
この塩は海から取れる代表的なもので、海の恵みとしての霊力があるとされ、
土地の神様のみ心を鎮める力があったのです。
また、お米も供えます。
このお米は、大地の恵みとしての穀物の霊力を表しているようで、
そんな力をお借りして、災いが起こらないことを願ったのです。
相撲は神事ですが、土俵に入る前に、
お相撲さんが、塩をつかんで、その塩を土俵に投げいれます。
これも清めの意味があります。
調べてみると、土俵を作る時に、
かちぐりや昆布、米、塩などが神様の供え物として、
土俵の中に埋めるのだといわれています。
さらに、土俵に入る時に、お相撲さんが口をすすぎます。
神社にお参りするときにも手を洗い口をすすぎます。
身を清めるのです。
そして柏手を打ち、四股(しこ)を踏みます。
邪気を払い、邪気を踏みしめ鎮める意味があるわけです。
日本は周りが海に面していて、
海で取れる塩を大事にし、その塩の力を尊んだことが伺われます。