今月は「おせち」(お節と書く)のお話を致します。
おせちは、もともとは神様への供え物であったようです。
お正月に使う箸(はし)も、
割り箸などと少し形が違って、箸の両側が削ってあります。
それは片側を神様が使い、もう一方を人が使うのです。
真中がふくらんでいるのは、子孫繁栄や五穀豊穣を表しているようです。
この正月の箸は、水引のついた箸袋に入れて、
大晦日の日に神棚の供えておくのです。
そんなお箸で、神様に供えたおせちを食べていただくわけです。
そして、そのおせちをおろして、私たちがいただきます。
それを難しくいうと、神人共食といいます。
神様と食を同じくし、力をいただくのです。
おせちはお重に入れます。
それは「めでたさを重ねる」という意味があるようです。
一の重から与(よ)の重まであり、この四番目は「与」と書きます。
四から連想される「死」を避けたのかもしれません。
また、五の重もあって、そのお重は控え重ともいい、何もいれません。
それは繁栄の余地がまだあるという意味があるのです。
一の重は、祝い肴を入れます。
まめに働けるための健康長寿で黒豆、
子孫繁栄の数の子、田作り・たたきごぼうで五穀豊穣、
栗きんとんは金運で商売繁盛、こんぶ巻きは喜びを表し、
だて巻きが繁栄を意味しています。
二の重は焼き物で海の幸を入れます。
鯛(たい)はめでたい、
腰がまがるまで長生きするという長寿を意味する海老(えび)、
ぶりは年神様に供える魚です。
三の重は、煮物を入れます。
山の幸です。子孫繁栄を願う里芋、
将来の見通しがよいという意味でレンコン、
長く根を張って生きられるためのゴボウ、
芽が出て出世するという意味でくわいを入れます。
与の重は、酢の物を入れます。
紅白なますは、お祝いの水引にみたてます。
酢レンコンは前述したように将来の見通しがよいことです。
これらのおせちは、地域によってずいぶん違っているようですが、
みな神様のお力をいただいて、幸せになれるようにと願った、
日本の尊い文化といえます。