今月は「阿修羅」(あしゅら)のお話を致します。
この阿修羅で有名なのは、興福寺の宝物館に安置されている阿修羅像です。
学校の修学旅行で、一度実物を見たことがあります。
細くて赤い顔をしてう、顔が三つもあって、
しかも手が何本もある異常な形をしている、とその頃は思ったものです。
この顔が三つあって、手が六本ある形を、
三面六臂(さんめんろっぴ)といいます。
この仏像は天平の名作と言われているようです。
天平とは奈良時代なので、ずいぶん古い仏像です。
六本の手は、実にバランスよく配置されているようで、
手の表情が不思議と美しいのです。
顔は少し眉根(まゆね)に皺(しわ)を寄せていたり、
下唇を噛んでいて、それぞれ表情が違っています。
これはお釈迦様の説法を聞く真摯(しんし)な態度であるといわれています。
もともとはインドでは、悪役の阿修羅であったのですが、
仏教に取り入れられて、仏を守る八部衆(はちぶしゅう)の一人になったのです。
阿修羅は、
インドの言葉では「スラ」の語に「ア」という否定語がついたアスラの音訳で、
「非天」などの意味があるようです。
初めは正しい神様であったようですが、
時代が変わっていって、「天には非(あら)ず」で、鬼神に変わっていったようです。
仏教では六道といって
死後、悟れないものは、この六つの世界にいくといわれています。
地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天の六つの世界です。
この中に修羅がありますが、この世界は戦闘を繰り返す世界です。
いつも戦争状態というのか、喧嘩ばかりしている世界です。
普段から怒りを抑えられない人は、死後この世界に行くとされています。
この修羅にいる鬼神としての阿修羅が
お釈迦様の説法を聞いて、帰依し、悟って、仏教の守護神になったのです。
お釈迦様の説法の力に、驚くばかりです。