今月は「不動明王」(ふどうみょうおう)についてです。
この仏様は、非常に特徴があるので、誰にも分かると思います。
怒った顔をしていて、身体全体が燃えるような火で覆(おお)われています。
もう少し詳しく調べると、
怒ったような顔をしているのを忿怒相(ふんぬそう)といいます。
激しい怒りの表情です。
これは私たちの煩悩を破壊してくれるものだそうです。
それほど煩悩は除き難いものなのです。
日本でも獅子舞いの獅子頭(ししがしら)は赤くて怒った顔をしています。
これは魔除けの力があるということですから、
忿怒(ふんぬ)の顔の意味は、両者似ているともいえます。
髪の毛は束ねていて、左側にたらしています。
これを策髪(さくほつ)といいます。
頭の上には「まげ」のようなものを付け、蓮華をのせています。
これを頂蓮(ちょうれん)といいます。蓮は悟りの象徴です。
額には3本のシワがあり、目は大きく見開いています。
中には片方の目は上に向き、もう一方は下を向けている
天地眼(てんちげん)をしているもののあります。
この意味は、全世界を見据えて、人々を見守っている意味があるのです。
左手には縄(なわ)のようなものを持っています。
これを羂索(けんじゃく)といい、煩悩を縛る働きを意味しています。
右手には垂直にたてて剣を持っています。
剣は文殊菩薩も持っていましたが、智慧(ちえ)の象徴です。
智慧を持って、人々の煩悩を打ち砕き、煩悩を去らせた後に、
仏の道に人々を導き、救済するのが、この不動明王です。
如来には光背(こうはい)といって、身体の後ろに光が放たれていますが、
不動明王の場合は、焔(ほのお)が燃えているように全体を包んでいます。
この焔を火焔光(かえんこう)といいます。
おそらく如来と同じ悟りと救済力があるので、身体全体を包んでいるのです。
この仏は、想像の仏でなく、
昔、霊的な弟子が実際に見て、仏師に作らせたのだと推測しています。