今月は「虚空蔵菩薩」(こくぞうぼさつ)のお話を致します。
虚空蔵菩薩は、虚空が「宇宙」の意味を持ち、蔵は母胎の意味を持ちます。
「万物を育むとともに、調和をもたらす仏様」という意味です。
この菩薩には「蔵」という字が付いていますが、
同じこの蔵がついている菩薩様は、地蔵菩薩です。
大地を母胎のように包むという意味でした。この母胎が「蔵」です。
ですから虚空蔵菩薩は、虚空すなわち宇宙を母胎のように包むになります。
大地は万物を生みだします。その万物を虚空の働きで育てるわけです。
この両者の関係を陰と陽の徳で表すこともあります。
虚空蔵菩薩のお姿は、結跏趺坐して蓮台に座り、
髪を結っていて、宝冠をかぶっています。観音様に似ていますね。
この宝冠は五仏冠と呼ばれ、
五つの仏様(化仏・けぶつ・本像が化身した小さな仏様)が彫られています。
観音様とここに違うところです。
右手には剣をも持ち、その剣からは火焔(かえん)がでています。
光の焔(ほのう)といって光焔(こうえん)といいます。
左手に如意宝珠をのせた蓮華を持っています。この虚空蔵菩薩が一般的な姿です。
少し難しくなるのですが、「虚空蔵求聞持法(ぐもんじほう)」といって
偉大な記憶力、あるいは智慧を授けていただけるという修法があります。
その本尊が虚空蔵菩薩ですが、この場合の姿は少し違います。
満月の中で蓮華に坐して、左手に宝珠をのせた白い蓮を持っています。
右手は与願印(よがんいん)をとっています。
これは、さまざまな願いをかなえてくれる印です。
この修法を行い、弘法大師空海は、明星と一体となり、
日蓮はこの菩薩から「日本一の智者となれ」のメッセージを受け取ったといいます。
臨済宗の栄西も、この修法を若い頃行っていたようです。
不思議な力を与えてくれる、仏教の修行方法です。
私たち凡人には察することのできない、何か大きなはからい事があるのでしょう。