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みにミニ法話

(245)「何度でも再出発する」

人生には失敗はつきものですが、
失敗するたびに、立ち直れない、そんな思いに駆られることがあります。

しかし、また再出発するという思いが必要です。
私たちの心は、思ったほど弱くなく、強いものなのです。

まず、何度でも再出発できると心に念じていることが大切です。
そしてその失敗から何かを学び取って、
もう一つ大きな人間になっていくと思うことです。

ドイツ生まれのアインシュタインは、ある実験に失敗したとき、
「この方法ではうまくいかないことがわかったのだから、この実験は成功だ」
と言っています。

失敗した時に、私の努力の足りなさからだと思ったとき、
「これくらいの努力では、この仕事はうまくいかないとわかったから成功だ」
と思うことです。そんな前向きな精神が必要なわけです。

さらに何度でも挑戦していくために必要なことは、
私一人が苦しい思いをしているのではないと、悟ることです。
身近に私たちを支えてくれている人や物に目を向け、
守られていることを深く悟ることです。

こんな詩があります。
「はちみつ」という詩で、48才の女性の方の作品です。

「はちみつ」

一匹のミツバチが
一生で集める蜜は
ティースプーンに 一杯ほどだという
紅茶にとかすひとさじ
ひとつの命の
生涯をかけた仕事が
今朝の私を暖める

(産経新聞「朝の詩」平成25年3月25日付)

こんな詩です。

ミツバチが生涯働いて集めた蜜はティースプーン一杯だけなのです。
それを私たちは一瞬にして頂いてしまいます。
命をかけた一生の仕事を一瞬で使ってしまうのです。
ミツバチの命が私を生かしめているのがよく分かります。

そんな貴重な力をいただいて、立ちあがれないはずはありません。
あんな小さなミツバチの一生の仕事を、ミツバチはお金をもらうわけでもないし、
報酬をもらうわけでもなく、無償で与えています。

「そんな生き方をしている小さな虫がいるのなら、
 私だって、もう一度困難にも挑戦していける」
そう思うことが大事です。

前向きな精神と、多くの人や物に支えられている真実をつかみ取り、
何度でも再出発していくことです。