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みにミニ法話

(233)「優しさの道」

優しさは、とても魅力的で、輝いています。
私はよく「優しさ色に染まる」という言葉を使い、
そんな詩をいくつも書いています。

この優しさはとても素朴で、あたりまえのような思いですが、
この優しさが大きな仕事をするのです。

この優しさを得る方法は、相手を思いやる心が必要になります。
縁で出会った伴侶や子どもそして家族、それをさらに広げて、
仲の良い友人や仕事仲間、さらに広げて社会の人びとや世界の人びと、
この優しさをこのように広げていくと、
優しさを多くの人に広げていきたい思える人ほど、
人格の深さを見ることができます。

その究極の方が仏や神なる存在なのでしょう。
私たち凡夫はそんな所まではいかなくても、
できれば家族や出会った縁ある人たちに、優しさを分け与えてあげられる、
そんな生き方ができればと思います。

ここに一つの投書を載せてみます。
62才の女性の方のもので、「障害ある娘 成人を迎え感謝」という題です。

「障害ある娘 成人を迎え感謝」

知的障害と身体障害のある娘が20歳になった。
元気で明るく、イケメン俳優とAKB48が大好きな、
どこにでもいるような子だ。

生まれた当時は、育児と将来の不安から、私は泣いてばかりいた。

しかし、1歳の誕生日に、
ケーキを前に家族に囲まれ、満面の笑みを浮かべる娘を見て、
泣くのはやめて、娘のためにできることは何でもしようと決めた。

親の短気をいさめるように、ゆっくりと、しかし着実に娘は成長してきた。
明るさや、ちゃめっ気に、どれだけ救われたか分からない。
すくすく育ちすぎるくらいに育ち、成人式の貸衣装の振り袖は体に合わないので、
懸命に洋服を縫った。

娘がいつか心の底から「生まれてきてよかった」と思う日が来るまで、
手を携えて歩いていこうと思っている。

(読売新聞 2019年1月12日付)

こんな投書です。

最後のほうで「娘が心のそこから『生まれてきてよかった』と思う日がくるまで」
と書いていますが、優しさが満ちています。

こんな優しさを私たちも持つことが、幸せになる唯一の方法です。