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みにミニ法話

(227)「豊かさと貧しさ」

物質的な豊かさと貧しさがあります。

日本は随分豊かな国になり、アフリカなどの貧しい国と比較すれば、
天国にいるような、そんな国かもしれません。

個人個人にとっても、お金があり、土地があって家がある。
そして普段の生活に困らない。このような豊かさは大切なことです。
そのために、一生懸命働いて、日々の生活を保っていくのも重要なことです。

東日本大震災にあった方で、
「水道料や市民税など普通に働いて、普通に納めたい」
という女性の人もおられましたから、
税を納めることができるのも、豊かで有り難いことなのです。

私たちは、
気がつかないような豊かさの中で暮らしているのかもしれません。
こんな思いを感じ取れるのも、心の豊かさに関係していきます。

物質的な豊かさはお金である財ですが、
精神的な豊かさは、思いやりの心や慈悲の思いで、
その思いをどれだけ心に持っているかで、その人の心の豊かさが決まってきます。

ずいぶん前にマザー・テレサが日本に来られた時に、
日本は豊かな国になったけれど、心が貧しいと言われました。
それは人びとの心に愛が足りないからということでした。
この愛はキリスト教の教えですが、仏教の慈悲の心に通じていくものがあります。

愛や慈悲の思いは、相手を思い、優しさや思いやりの心を抱いて、
自分ばかりでなく、相手の幸せも願って生きられる力です。
そんな愛や慈悲を貯金を積むように、心にたくさん持っている人が、
心豊かな人であると思われます。

そんな愛や慈悲を心に貯めていくためには、
まず、その思いを大切にすることだと思います。

愛や慈悲を人に分け与えていくと、なぜか減るように思われますが、
それが逆に心に貯まっていくのです。

お金は使えば使うほど減っていきますが、
愛や慈悲は、使えば使うほど、心に貯まっていき、
ますます心が豊かになっていくのです。

なぜならば、愛や慈悲を使うと、
自分ばかりでなく、まわりの人も幸せになっていくからです。

そんな心の豊さを求め、心の貧しい人にならないことです。