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みにミニ法話

(220)「あたたかな心」

あたたかな心とは、
春のように、その人といると安心し、
自分もあたたかな思いになれる、
そんな心を持った人であるといえます。

またあたたかな心は、人の優しさを奪うのでなく、
人に優しくできる心でもあり、
素直にありがとうと言える心でもありましょう。

一つ、投書を読みます。
この中に出てくる人たちのように、みんな与えあう心でいたら、 幸せなあたたかな家庭、社会になることでしょう。

17才の高校生で、女性の方の投書です。 「バスの中での親切リレー」という題です。

「バスの中での親切リレー」

先日、買い物帰りで久しぶりにバスに乗った。
混んでいたので大きな荷物を抱えたまま立っていた。

すると近くにいた若い男性が無言で席を譲ってくれた。
私はお礼を言って早速座った。

その後、おじいさんが乗ってきたので、私は席を譲った。
今度は私がお礼を言われ「荷物持ってあげるよ」と言ってくれた。
優しい気遣いにとてもうれしくなった。

次の停留所で、降りた女性の忘れものに気がついた乗客が
「忘れ物ですよ」と叫んだ。

間一髪で間に合い、手渡しリレーでバスの外の女性に届けた。 女性は恥ずかしそうにお辞儀をして走り去った。

私が降りる停留所ではおじいさんが「お姉ちゃんお疲れ」と言い、
荷物を渡してくれた。私は大きな声でお礼を言ってバスを降りた。

学校では決して得られない体験だった。
多くの親切と助け合いに出会い、教科書に載っていない大切なことを学んだ。
その夜、家族で鍋を囲み身も心も温まった。

(朝日新聞 平成20年10月30日付)

こんな投書です。

みんが親切で助け合っていて、
しかも助けられてお礼を言っているところは、
あたたかな世界を感じます。

彼女は最後に身も心も温まったと書いていますが、
あたたかさの意味が分かる投書であると思います。

席を譲る勇気があって、
譲られたら素直にその親切を受けて、「ありがとう」が言える。
どんな時でも、どんな場合でも、こんな生き方が尊いのです。