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みにミニ法話

(208)「やさしさは宝」

この世には宝がたくさんあります。

お金もそうでしょうし、
好きな人からいただいたプレゼントも宝といえましょう。
家族との想い出や、友達との想い出も大切な心の宝といえます。

この意味で宝は、持っている人に幸せを与えるものです。

そんな宝の中で、「やさしさ」は決して消えることのないもので、
また自分ばかりでなく、人にもあたたかな思いを分けてあげられる
特別な宝であると思われます。

このやさしさの宝を得ることは、難しい半面、
また得やすい宝ともいえます。

禅問答のようですが、
相手を思いやる心が深ければ、必ず得られるものですし、
自分のことばかり考えていると、なかなか得られないものなのです。

こんなお話がありました。
「軍手」という題のお話です。

「軍手」

とても寒い日、娘と二人で車に乗っていると、
前を走る引越しの小型トラックの荷台に、
冷蔵庫を素手で支えている若者がいました。

「トラックの人寒そうだね」と娘と話していると、
信号が赤で止まった時、トラックの横にいた車のドアが開き、
女性が出てきて、その若者に軍手を渡しました。
若者はお礼を言い、女性は急いで車へ。すぐ信号は青。

若者は軍手をはめ、トラックは走り去って行きました。
本当に一瞬の出来事でしたが、
「この寒空にやさしい人が弘前(ひろさき)にもいるんだね」
と娘と二人、温かい気持ちになりました。

(喜びのタネまき新聞のNo.488)

こんなお話です。

寒い日に素手で冷蔵庫を支えている若者に、
どこかの女性が軍手を渡した様子を見て、
この親子はそのやさしさに心を打たれています。

軍手をもらった若者も、軍手を差し上げた女性も、
手ばかりでなく、心も温まったことでしょう。

やさしさは、まわりの人を次々に幸せにしていく力があるのです。
そして、こんなやさしさの宝を持ち、このやさしさを人に分け与えていけば、
もっとやさしさの宝が増えていくのです。
自分の心にも、相手の心の中にも、です。

実に不思議な尊い宝なのです。