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みにミニ法話

(181)「苦難を乗り越えて」

苦難はなければよいのですが、人生のなかで必ず出会う厄介者です。

しかし、この苦難があり、
それを乗り越えていくことで人間として大きくなっていけるのですから、
その意味で、苦難はよき先生であるといえます。

この苦難には、それを乗り越える力のレベルのようなものがあります。

剣道や柔道などにもレベルがあって、
練習をし、試合を積むことで、そのレベルもあがっていきます。

初段とか二段とかをただくのは、
それぞれに値するレベルを乗り越えた証しといえます。

できれば私達も、苦難を乗り越える初段とか、二段の腕前、
心の力をもって、上手に苦難を乗り越えていくことが必要です。

学生であれば試験という苦難があります。
仕事を持つ人であれば、一日のノルマに対する苦難もありましょう。

健康を害して、それを乗り越える苦難や、
自分ではなく家族の病気、あるいは事故によって起こってくる苦難もあります。

嫌な人と会わなくてはならない苦しみや、
愛する人との別れからくる苦しみもあります。

これらのことはこの世に生きているなかで当然起こってくるものですから、
よくその苦難を乗り越える考え方を固めておくことが苦難を乗り越える方法です。

苦難を乗り越える考え方としてまず、
苦しみの原因が「過ぎた欲望からくること」を知っていることです。

さらには「してもらえない、愛してもらえない」という気持ちから苦しみがくること。
「これも手に入らない、あれも手に入らない」「自分の思うようにならない」。
そんな考えからも苦しみはやってきます。

ですからこの思いをどれだけ滅して、
過ぎた欲望を抑えていくかが苦難を乗り越えていく方法になります。

ですから「足ることを知る」という心構えを大事にしたり、
「してもらえない、愛してもらえない」でなく、「させていただく」という心構え、
「物事はすべて自分の思うようにならないから、まず、自分の思いを変えてみる」
などの心構えを持ち、心の訓練をしていくのです。

それが苦しみを乗り越える力になっていき、
やがて苦難を乗り越えるレベルも上がっていきましょう。

静かに自分を省みて、苦しみの原因を点検してみてください。

今年一年、読んでくださる方々のおかげで、
みにミニ法話を続ける苦難が、安らぎに変わります。
ありがとござしました。