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みにミニ法話

(153)「幸せを築くために」

以前ライブドアを立ち上げた堀江貴文氏がその著書(「稼ぐが勝ち」光文社)で、
「人の心はお金で買える」とか、
「金を持っているやつが偉い。これはあたりまえのことです」と書いているようです。

これは「お金を持っていることが人の心まで買えて、幸せである」ともいえます。

お金はこの世を生きていくために必要ですから、
幸せになるためにはなくてはならないものでしょう。

しかし、この考えが100%、そうであるというのは納得しがたいものがあります。

あるご夫婦が退職金と自宅を処分して、有料の老人ホームに入りました。
それは「夢のホーム」といえるほどの金額であったそうです。

さぞかし快適な生活を送られると思っていたのですが、
先に入っている古参の人たちが幅をきかせていて、
お風呂でも席が決まっていて端っこで小さくなって体を流さなくてはならないし、
食堂でも席が決まっていて、ずいぶん暮らしにくかったそうです。

いじめや仲間はずれもあって、
「老後の安心、安全は金で買うことができたけれど、人の心までは無理であった」
自戒し、マンションにうつったという夫婦がいました。

春風に吹かれて幸せを感じる人。
タンポポの花や桜の花を見て幸せを思う人。
家族のほほえみを受けて幸せを感じる人。
みな心の持ち方によって幸せを感じるのです。

お金ではかえがたい幸せが、この世にはたくさんあります。

幸せのなかでも、最も尊い幸せは、
「こちらからしてあげて、していただいた相手が、
幸せな思いに包まれているのを静かに見つめることのできる境地」
であると思われます。

してもらっているばかりが真の幸せではありません。
こちらから手を差し伸べてあげる、そんな生き方が幸せを築いていきます。

お金のある人は布施をして、他の人に喜んでもらう。
お金がなくても、やさしい言葉や、ほほえみ、小さな親切も、
どれだけ人を幸せにするかわかりません。

「人を幸せにしただけ、自分が幸せになれる」

この法則のもとに人生を送っている人が、
やがて「幸せという大きな城」に住むことができるのです。