みにミニ法話
(129)「仏さまの力」
大分県でしたが、ある小高い山の頂(いただき)に小さなお寺がありました。
日本昔話にでも出てくるようなお寺です。
私がまだ若いころでありましが、そこへお話にいったことがありました。
聞きにきてくださった方は、たったの7人くらいでしたが、
その中に70才くらいの女性の方がいて、本堂に入ってくるなり、
本尊さまの前で額を畳にくっつけて頭をさげ礼拝するのです。
熱心な方もいらっしゃるものだと内心思いながら、お話をさせていただきました。
このお話のなかで、「感応道交」(かんのうどうこう)というお話をしたのです。
感応というのは、私たちが仏さまを信じ、信頼して、一心にお参りすると、
その信仰心の深さや思いの力に応じて、道交すなわち私たちに交わってくださり、
大きな力を与えてくれるというのです。
信仰心あるいは信心の思いを持てば持つほど、
仏さまが私たちの力を引き出してくれると解釈してもいいかもしれません。
そして、このお寺の本尊さまは観音さまで、
「この観音さまを信じ礼拝しお参りしていると、きっと素晴らしいお力をいただけます」
と、そんなお話をしたのです。
話をし終わると、後の質問で、本堂の前で額を畳にすりつけてお参りしていた女性がこんなことを語ってくれたのです。
和尚さまの言うとおりです。
このお寺まで水を運ぶのに何回も下りたり登ったりしなくてはならないので、
足の痛い私はやめようかと何度も思ったのです。
でも、この観音さまに『どうぞ私をお守りください』とお願いし、
このお寺まで下から何回も往復している間に、あんなに痛かった足が動いて、
回数を重ねるほどに、足が雲の上を歩いているように軽く、
何の苦労もなく登り降りができるようになりました。
これもほんとうに、観音さまのお力だと思っています。
この女性の方は、必ず観音さまがいらっしゃって、私を守ってくれる、
尊い力を授けてくれると心から信じていたのです。
ですから本堂に入ってきたときに、あんなに一生懸命お参りをしていたのです。
尊い経験を私も積ませていただきました。