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みにミニ法話

(122)「その場を生きる」

私たちは、さまざまな環境の中で住んでいます。

その環境は一人ひとりみな違っています。
ある人は長野県に住み、ある人は東京に住んでいます。
ある人は子どもが生まれ、ある人は子どもがいない場合もあります。
おじいさんやおばあさんと一緒に暮らしていたり、
若い夫婦だけで暮らしている場合もあります。

病人を抱えた家もあり、寝たきりの人を介護したり、
本人が寝たきりの場合もあります。

特に悩みもなく暮らす人もいれば、毎日が苦しくてたまらない人もいます。
同じ兄弟でも兄と弟では、その環境も違い、姉と妹でも同じではありません。

このように全く同じ環境で暮らしている人はいないでしょう。

とかく人は、自分の環境の良し悪しを、他の人の環境と見比べて、
あの人は幸せな家庭に生まれていいなあとか、お金持ちの家でいいなあとか、
お母さんが綺麗な人でいいなあと比較し、妬んだり自慢したりして、
自分の幸せを決めてしまう場合があります。

でもこの考え方は正しい考え方ではないのです。

正しい考え方は、今ある自分の環境を、自分にあった環境であると知り、
その中で最善を尽くしていくことだと思うのです。

野に咲く花から、私たちは多くのことを学ぶことができます。

荒れ地に咲いたからといって文句をいうタンポポはいません。
林の中に咲いたからといって悲しむスミレの花はありません。

岩場に立つ松の木からも、
「この岩場の環境は私には合わない、平地の松がいいなあ」
という妬みの声は聞こえてきません。

みなその場を一生懸命生きているからこそ、
私たちに感動と学びを与えてくれるわけです。

自分の不幸を環境の責任にするのでなく、
その場をしっかり生きて、その場で花を咲かせていきましょう。

そんな前向きな生き方が、やがてその場を自分にあった環境に変えていくはずです。
そしてその場に、必ず、幸せの光が見えてきます。