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法話

人生計画のすすめ 4 「『なりたい』と強く思う」

「なりたい」と強く思う

人生のテーマが決ったら、その「テーマのような人になりたいと強く思う」ことです。 いつも心臓が動いているように、そのテーマを忘れないでいて、実践できるように気をつけて生きることです。

自分の心を変えていくのには、ずいぶんエネルギーがいります。 何もしなければ、人は坂道を下るように、人格が薄れてきます。 坂道を登るような少し努力を惜しまない生き方が、人格を保つ方法です。

自らの人格を高めるために、自らに少し厳しく接していくのがちょうどよいのです。人生のテーマを基準にして、自らを律していくのです。

宮沢賢治に「雨ニモマケズ」という詩があります。(全文はこちら

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋(いか)ラズ
イツモシズカニワラッテイル

(中略)

ソウイウモノニ
ワタシハナリタイ

長いので全文をここには挙げませんが、最後に「ソウイウモノニワタシハナリタイ」と言っています。そう強く念じて生きることが大事なのです。
これは宮沢賢治の人生のテーマのような気がします。

この詩は宮沢賢治のものですが、この詩を毎日読むだけでも、私もこのようになりたいという気持ちにさせる力のある詩です。

前述しましたように、この人生のテーマを実践していくには、ずいぶん自らに厳しく接していかなくてはならないでしょう。 でも道は険しくても、やりがいのあるテーマです。

宮沢賢治だから書いた詩ですが、私たちは多くを望まずとも、自らを律しながら、自分の人生のテーマを掲げ、「このような人になりたい」と強く念じていくことが、人生計画を進めるうえで必要なことでしょう。

具体的な方法として

人生のテーマを決めたら、次ぎにすることは、具体的なことを決めていくことです。

さまざまな会においては、たいがい一年間にどんなことをして、予算はどうするかなどと、比較的分かりやすい計画が立てられます。

でもここでの人生のテーマの「正直」とか「感謝」などは、非常に抽象的で、それをどのように計画に繰り入れていくかは非常に難しいものです。

そこで1番目に「人生のテーマを離さないでいつも持っている」と計画します。肌身離さず持っているわけです。
紙に書いて壁に貼っておいたり、一日に何度も口ずさんだり、心のなかで、そうありたいと願ったり。そんな努力をします。

先月の「新聞のたとえ」でいえば、一面の見出しに、自分のテーマを大きく掲げておくといってもいいかもしれません。

第2番目に「人生のテーマについて、深く学びを進めていく」という段階です。

もしかしたら、これで一生終えてしまう、ということもあるかもしれません。 学びには限りがないからです。
予算的には学びについての本や講演など、自分の収入に合わせて、お金を投資していくことが大事になります。

お恥ずかしいことですが、私の人生のテーマは「おおらかさとやさしさ」です。 このテーマも抽象的でとらえにくいものですが、学びを通して知ることは、「おおらかさ」については、思うようにならないときに、おおらかさが失われることです。

さらに、人との触れあいで、我(が)が強く出たときにはおおらかさがなくなります。不平や不満、貪欲な思いは、心を波立たせます。 あるいは自分の心に愛が失なわれていると、おおらかさがなくなってきます。そんなことが分かってきます。

ですから、逆の思いに自分をコントロールしていくと、おおらかさが比較的保てるようになります。そんなことを、学びから知るようになります。

3番目は「人生のテーマを実践しながら、自分がどの程度テーマにそって生きているかを省みる」ということになります。

これは日々の反省でもあり、1年あるいは10年と長いスパンでの反省もありえましょう。これを言い換えれば、自分の人格が向上しているかを自らに問うといってもいいかもしれません。

最後に、「テーマにそって生きている私が、どれだけまわりの人の幸せに貢献しているかを忘れないでいる」ということになります。
再度新聞のたとえでいえば、新聞を読んでくださっている人が、どれだけこの新聞を見て、自らの見識を広め、役に立っているかを見定め新聞を作っていると思いますが、 そんな視点を自分の生き方にも繁栄させるのです。

人生計画として、

1、人生のテーマを決める。これは何のために生きているかを決めることにも通じています。 2、テーマのような人に成りたいと念じる。 3、テーマを常に保持している。 4、テーマについての学びをする。学びへの投資をする。 5、どの程度、テーマにそった生き方をしているかを反省する。 6、テーマにそって生きている私が、まわりの人の幸せに貢献できているかを、確認する。

今までお話してきたことは、人生計画の一つの目安ですが、自分の人生のテーマを決め、計画を立て生きてゆくことで、必ず悔いのない一生を手にするのです。