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法華経の詩

法華経の詩(72)

化城喩品 第七(14)

大通智勝如来(だいつうちしょうにょらい)
である仏 世尊は
「都城のたとえ」を語ったのち
その真意を僧たちに伝えた

案内人とは誰であろう
密林とは何をたとえているのか
都城とは何か
そして 宝処である宝の町とは

まず 案内人とは
「さとり」を得た如来である
この世の すべての者たちを
幸せへと導く案内人なのだ

密林とは何か
それは煩悩を意味する
貪欲 怒り 愚痴 この三つの毒に心を犯され
どう生きることが正しいのか 理解できず
煩悩の密林で迷いもがくのだ

案内人が説く 仏の智慧は
得ることはできないと考え
学ぶには難しく 煩わしくてならないと
煩悩の密林を 行ったり来たり 後戻りしたり わき道にそれたりする

案内人なる仏は 世の人びとの そんな弱い心を察し
神通力で 仮のさとりである都城を作るのだ
この都城は 仏の教えを信頼して聞く
声聞(しょうもん)という境地であり
独り山にこもり
悟りを求める独覚(どくがく)の境地である

この境地は幻の境地であって
真なる「さとり」に至る前の
疲れを癒す境地にしかすぎない

本当の「さとり」の境地 すなわち宝処は
一仏乗なる
自らが仏になれるという境地なのだ