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法華経の詩

法華経の詩(52)

薬草喩品 第五(11)

世尊なる仏は さらに続けて
すべて人びとを憐れむ
四つの心の状態を教えた
これを四無量心(しむりょうしん)という

一つは「慈」(じ)の心である
慈の思いが無量に
心の中に満ちあふれている状態だ
この心は
すべての人に楽(らく)を与えることである
すべての人を
幸せに導いてあげられずにはいられない
そんな心の姿である

二つ目は「悲」(ひ)の心である
悲の思いが無量に
心の中に満ちあふれている状態だ
この心は
すべての人の苦しみを
自分の苦しみと感じて
その苦しみを取り除いてあげたいという
心の思いだ

三つ目が「喜」(き)の心である
喜の思いが無量に 心の中に満ちあふれている状態だ
すべての人の幸せを 自分の幸せのように
喜んであげられる心の思いだ
相手の幸せや成功を祝福してあげる心だ

四つ目が「捨」(しゃ)の心である
捨の思いが無量に
心の中に満ちあふれている状態をいう
すべての人に愛憎の心がなく
平等に感じ取り見てあげられる思いだ
人びとの貴賤や 身体の障害にかかわらず
男女や老若(ろうにゃく)にかかわらず
姿の美しさや そうでない者にかかわらず
平等に見てあげられる心の思いだ

この利他の心が 無量の福をもたらし
多くの人を幸せの園に誘うのだ