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法華経の詩

法華経の詩(50)

薬草喩品 第五(10)

世尊なる仏は
のちのちに語られ告げられていく
六波羅蜜(ろくはらみつ)について教えた

八つの道なる八正道(はっしょうどう)は
特に 乱れやすい心をおさめ
清めていくことを 主眼とするのに対して
六波羅蜜は 実践に重きをおいたもので
六つの「彼岸という悟りの世界に至る」ための
教えだ

まず第一番目が「布施」(ふせ)である
純真な気持ちで財を施し
また見返りを求めず 慈しみの思いを与えるのだ

二番目が「持戒」(じかい)である
持戒とは戒めを持ち
その戒めのもとに自分を律していく
身体と言葉と思いを律して悪を避けるのだ
三番目は「忍辱」(にんにく)だ
耐え忍ぶということ
怒り心を鎮め いつも平静でいることだ
四番目に「精進」(しょうじん)
日々怠ることなく 悪を止め善行に努め励むことだ

五番目が「禅定」(ぜんじょう)である
八正道の正定(しょうじょう)は
精神を落ち着け反省をするのに力点があるのに
この禅定は なすべき仕事や生活をしながら
また歩きながらでも 語るなかでも
精神を統一し 心乱れないでいることだ

六番目は「智慧」(ちえ)をいう
この智慧は「般若」ともいう
単なる知識でなく 心の奥底からでてくる叡智
その叡智を 自在に使いこなすのだ

これらの六つの教えを行(ぎょう)じていくと
彼岸というさとりの世界に至ることができる
そして 神通力に目覚め 見えない世界の
神仏(かみほとけ)との交流が可能となる
  心眼(しんがん)が 開いたといえよう