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法華経の詩

法華経の詩(29)

譬喩品 第三(5)

世尊なる仏から
舎利弗(しゃりほつ)が
未来世において完全なるさとりに到達し
華光如来(けこうにょらい)になるという
予言を聴いた
修行者たちは歓喜して 仏に衣を献上し
また天の神々は 天の衣をひるがえし
天の美しい花を雨のように降らせた
そして天の神々は次のように語った

昔 仏は波羅奈(はらな・ヴァーラナシー)で
苦を幸せに変える
奥深い 悟りに至る教えを説かれました
しかし今 教えていただいた真理は
未だかつて聴いたことがありません
智慧深い舎利弗が やがて尊い仏になるのですね
私たちも必ず仏となって
最上の存在になり
多くの人びとを幸せの園に
誘うことができると見極めがつきました

このとき 舎利弗が仏に語った
私は今 この上ない完全な悟りに至るという予言を
迷いなく受けることができました
しかし 学び多き修行者千二百人の弟子たちは
仏の説かれた
生まれて老い 病気と死の四つの苦しみを脱して
安らぎの境地に至ることが最終目的と聞き
彼らは自我に関する 邪見なる誤った見方や
死後の世界を認めず 死後 無なってしまうという
断見(だんけん)という誤った見方
死後の世界を認めるが 
因果の法則で変化していくのに 善悪関係なく 
私という同じ存在が続いていく
常見(じょうけん)という誤った見方を悟り
静かなる境地に自分では至ったと思っているのです

しかし 未だかつて聴いたことのないこの教えが
よく分からないようです
どうぞこれらの修行僧の疑念を除いてください