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法華経の詩

法華経の詩(13)

方便品 第二(1)

仏は瞑想をといて
安らかにその場に立ち
舎利弗(しゃりほつ)に話しかけた

舎利弗よ 仏の智慧は深く見極めがたい
教えを聞いて悟る声聞(しょうもん)や
縁起(えんぎ)を理解する独覚(どくがく)には
仏の教えは おそらく理解できないであろう

だから 今までたくさんの 因縁や
さまざまな 喩(たとえ)
数えきれない 方便(ほうべん)を使って
この世の形あるものに 心を奪われ
苦しみもがく その迷いから
  あなたがたを 安らぎの世界に解き放ってきた

なぜなら仏は あなたがたには計り知れない
智慧(ちえ)の宮に住んでいるからである
その宮は光そのものであり また平安に満ちている
ゆえに説く言葉は 優しく柔らかであり
多くの人びとの心を 悦ばせるのだ

しかし 仏の悟りは無量 無辺であり
その教えは極めて難しく 理解しがたい
だから ほんとうのところは
あなたがたには 説くことができないのだ
仏と仏のみが 真なる世界のありさまを理解し合え
仏こそが 諸々の世界のありさまを知っている

たとえば その世界のありさまを語ってみよう
まず すべてのものごとには姿形(すがたかたち)があり
姿形には さまざまな性質がある
その姿や性質を在らしめている 主体があって
その主体に力がで その力で行動に移せば
それが原因となり さまざまな縁によって結果がでる
そして その結果に応じた果報(むくい)を得る
このように もろもろの世界のありさまは
みなばらばらのようで 一つにつながっているのだ
この真なる世界のありさまを 仏だけが知っている
これは後に十如是(じゅうにょうぜ)と呼ばれるであろう