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法華経の詩

法華経の詩(4)

序品 第一(4)

仏の眉間(みけん)から放たれた光に
映し出された世界を見て
みな不思議な思いに抱かれた
仏は坐禅瞑想に入っていて
直接その理由を仏に聞くことができない

弥勒菩薩はこのとき
文殊菩薩に聞けば
このことが分かるのではないかと思った

文殊は過去世において
数え切れないほど 仏のそばに仕え
修行を重ねながら 仏を助けてきた人だからだ

多くの者の疑問を解こうと
弥勒は文殊に問い尋ねた

文殊よ
遥かに次元を超えた国々を現わされた
天の神々は喜びに満ち
美しい天の花びらを ひらひらと降らせ
栴檀(せんだん)の香りを漂わせた風を
春の風のように吹かす
それゆえに 大地は清らかに光輝き
人びとの心は安らぎと喜びに満ちている

仏が現わしたすべての世界は
一瞬にして 金色(こんじき)に輝いた

そして 下は阿鼻地獄(あびじごく)より
上は有頂なる阿迦尼天(あかにてん)にいたるまで
そこに住む人びとが
六道の世界を脱して 清らかに慈悲の心に住む姿や
または 六道の世界を輪廻する運命を
自らの行いの善し悪しの結果として受け
生まれては死に 死んでは生まれる姿を見た

幸せな者も不幸な者も 勝れた者も劣った者も
その生き方によって 彼らの運命の巡るようすを
手に取るように見ることができる