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しきたり雑考(55)

冬至のしきたり

今月は「冬至のしきたり」をお話します。

今年の冬至は12月22日です。
この日は暦(こよみ)によれば、
夜が一番長く、昼が一番短い日にあたります。

この日は「一陽来復」(いちようらいふく)といって、
冬至を過ぎて、太陽の力が復活し、少しずつ日が長くなり、
それに重ね合わせ、悪いことが続いた後に、幸運が巡ってくる。
冬が終わり春がやってくる。そんな希望に満ちた日であるわけです。

この日には「かぼちゃ」を食べることが伝えられています。
小さいころから母がかぼちゃの煮物を作ってくれて食べた想い出があります
。何故、この日にかぼちゃを食べるのかよく知りませんでした。

調べてみると、
「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない」という俗信があるように、
どうもかぼちゃにはビタミンA、Cなどの栄養があって、
昔は野菜不足におちいりやすいこの時期に食べたようです。
それが食習慣になっていったという説があります。

さらには、かぼちゃの別名は「ナンキン」というらしいのです。
名前に「ン」がつく食べ物を食べると「運」を得ることができるという
言霊(ことだま)を信じたのです。

冬至の七種(ななくさ)があるようで、
この「ナンキン」と「レンコン」「ニンジン」「ギンナン」
「キンカン」「カンテン」「ウンドン」(うどんの意味)で、
みな「ン」がついて、合わせて七種類になります。

また、「冬至にユズ湯に入ると風邪をひかず健康で冬を過ごせる」
と言われています。

ユズを軽く洗いガーゼなどの袋に入れて湯に入れます。
ユズを半分に切る場合もあります。ユズの成分が肌の荒れを治し、
また体を清める力があるようです。
ある意味では魔除けとしての効果もあるかもしれません。

言霊からいえば、
「湯治」(とうじ)をもじって「ユズ」とし、体の悪いところが治る意味。
あるいは「融通」と書いて「ゆうずう」を「ユズ」と読み、
何事も融通がきいて、幸せな日々を送れる。そんな意味合いもあるようです。

昔から何事につけても、
幸せに暮らしたいという人びとの知恵から出たしきたりとえいます。

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