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しきたり雑考(49)

夜にちなんだ迷信(俗信)

今月は「夜にちなんだ迷信(俗信)」についてお話し致します。

以前、「夜口笛を吹かない」(平成29年7月号)というお話をしました。
夜のまつわる迷信はまだたくさんあります。

よく聞くのが「夜爪を切ると親の死に目に会えない」というものがあります。

昔日本では、死者を埋葬するときに
近親者が自分の髪や爪を一緒に土に埋めるという風習があったようです。
ここからこの迷信が出てきたと言われています。

夜について『日本書紀』の中に
「人体の一部である爪には霊魂が宿っている。
だから幽気が暗躍(あんやく)する夜に、爪を切るのはつつしむべき」
(北山哲)とあり、また江戸時代では、爪でさえも親からの授かりもの。
夜、爪を切ると親からの授かりものを粗末に扱うという考えもあったようで、
この考えからも、夜爪を切らないということが伝えられてきたとも考えられます。
爪でさえも親からの授かりものという考えは、親孝行の現れで、
尊い考え方かもしれません。

また「夜お金を数えると泥棒に入られる」という迷信もあります。
現代ではお金はお札ですから、それを数えても音はあまりしません。
しかし昔は小判などの硬貨が中心で、みんなが寝静まった後に数えると、
硬貨と硬貨がぶつかり「チャリン、チャリン」と音が出て、
外から入ってくる泥棒の餌食になりやすく、あるいは使用人の中でも、
主人の貯めたお金を持ち逃げしてしまう、そんな輩(やから)もいたようで、
そんなところからこの迷信が出て来たのではないかと言われています。

あるいは夜という幽気ある暗闇で、
どんなにお金が貯まったかというどん欲に呼ばれて邪気が集まってくる。
それが家の不幸につながっていく。そんな考えもあったかもしれません。

もう一つ「洗濯物を夜に干すと、招かざる客が来る」というものもあります。
昔の人は信じていたようですが、体を包みまとう着物には、
着ていた人の霊が宿るというのです。

そのため、亡くなった人がいると、
その死者の着物を死後に干しっぱなしにした習慣があったようです。
夜に洗濯物を干すと、死者の着物を連想させるようで、
縁起はあまりよくないというところからこの迷信がでてきたと言われています。
あるいは夜洗濯物が干してあると、その家は留守と見て、
盗人が入るということが伝えられています。

昔の人は、不吉なことから身を守るために、こんな言葉を残したといえます。

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