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しきたり雑考(9)

大晦日

今月は「大晦日」です。

大晦日は12月31日です。
この日のお祝いに「年取りの飯(めし)」をいただく風習があります。

昔は数え年で年を数えるのが普通で、正月になると1歳年を取りました。
それと、かつて1日の終わりが日没の時とされていて、
大晦日の日没が、もうすでに1月1日だったのです。

ですから、年を1つ取った新年という意味で、お祝いの食事をいただいたのです。
このお祝いの食事を「年越し料理」とも「年取り膳」ともいいます。

このとき年越しそばをいただくのが今の通例です。

江戸時代に金銀を扱う細工師(さいくし)が、
1年の仕事納(おさ)めに、そば粉を熱湯で練(ね)って団子を作り、
それで床や畳をたたいて金粉や銀粉を集めたといいます。
その集めたそばの団子を火に焼くと、
そばは灰になり、後に金銀の粉が残ったのです。

それがそばは金を集めるということになり、
大晦日にそばを食べて、新しい年にお金が集まるという縁起をかついだのが、
そばを食べ始めた理由と言われています。

あるいは「細く長い」ところから、健康長寿を願い、
「切れやすい」ところから、苦労や災難を断ち切り、
「荒れ地でも育つ」ところから、その生命力にあずかるためにいただくという、
さまざまな理由があります。

関西のほうではそばの代わりにうどんを食べるところもあるようです。
運を呼ぶで「うんどん」が、うどんになるわけです。

除夜の鐘は108つ打ちます。

さまざまな諸説がありますが、
簡単なのは、四苦八苦という仏教の教えからきている説です。
四苦を4×9=36とし、八苦を8×9=72。
合わせると108つになります。

108つ鐘を打つことで、苦しみを除いて、心をきれいにし、
感謝の思いで新年を迎えるのです。

大晦日から新年かけて、心と身とをきれいにし、
神様を迎える依代(よりしろ)としての門松を立てて神様を迎え、
幸せな年を願うのが人として尊いことなのです。

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