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しきたり雑考(8)

七五三

今月は「七五三」です。

数えで三才になる男女の子ども、
五才になる男の子、そして七才になる女の子のお祝いをします。
多くがお宮にお参りしますが、お寺でもお参りが可能だと思います。

昔は「七つ前は神のうち」と言われ、
数えで七才なるまでは、子どもは神様のうちだたったのです。
神さまに近い存在であったのです。

それが七才になって、○○家の人となるわけです。
それを氏子(うじこ)入りといいました。

七五三の起源ですが、
まずひとつが、医療の充実していない昔は、
特に子どもが無事育つのが難しく、死亡率が高かったのです。
そこで健やかに丈夫に育つようにと、神仏に祈りを捧げる場を持ったのです。

武家の社会では、
三才のときに髪を伸ばし始める「髪置」(かみおき)という儀式がありました。
五才になると男の子が袴(はかま)を初めてはく「袴着」(はかまぎ)の儀式をしました。
それは男として社会の一員なるという意味合いがあったようです。

そして七才には、
女の子が子ども用のひも付きの着物でなく、大人用の着物を着始める
「紐落とし」(ひもおとし)、あるいは「紐解き」(ひもとき)が行われました。
その儀式が七五三の原型とも言われています。

11月15日にお参りをするわけですが、
この頃は稲刈りも終わり、田の神様を山に送る、そんな時期です。
田の神様は子を守る産土神(うぶすながみ)とも言われ、
そんな神様に収穫の感謝と合わせて、子どもの命を守る祈りをしたのです。

よく七五三には千歳飴(ちとせあめ)が祝いのしるしとして贈られます。
子どもの成長を祈って千年の千をつけ、飴は長く伸びています。
これも長寿を意味します。
紅白にしてあるのは、白は清浄を意味し、赤は邪を払うのです。
袋には亀や鶴の絵が描かれ、縁起がよいことを現しています。

子は宝で、大事に育てるという
昔の人の心根が今でも続いている大切な日本の文化です。

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