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しきたり雑考(7)

神無月と収穫祭

今月は、「神無月」(かんなづき)と
収穫祭」についてお話を致します。

十月は神無月といいます。
神が無い月ですが、不思議な名前だと小さいころから思っていました。

ご承知のように、島根県にある出雲大社に神々が集まって会議をするので、
各地の神様が留守をしていないからついた月の名だということです。

私も一度お参りしたことがありますが、
本殿の注連縄の大きさに驚いたのを覚えています。

出雲ではこの月は神在月(かみありづき)というようです。
ちなみに十一月を神帰月(かみきづき)という月の名もあります。

この神無月の語源にはいろいろあるようですが、
この「無」には「の」の意味があって、
神祭りが行われる「神の月」ともいうのです。

あるいは翌月十一月に行われる、
新嘗祭(にいなめさい)の新しいお酒を醸造する月の意味で、
「醸成月」(かもなしづき)が語源であるとも言われています。

出雲に集まった神様たちは、会議の中で今年の農作物の様子や、
来年の天気、農作物の出来などを話されるようです。

そんな神様たちに感謝をささげるのが「収穫祭」です。
関東・中部地方では、旧暦の十月十日の夜に、田の神様が山に帰るというので、
その時期に合わせて、感謝の祭りをします。

イネの刈り入れに先立っては、稲穂を少し神前に供えます。
これを「穂掛祭り」(ほかりまつり)といいます。
刈り入れが終わったら、「刈上祭り」(かりあげまつり)をします。

収穫を感謝する神様の基本的な信仰は、
神様が春になると山から下りてきて田の神になって人びとに豊作をもたらします。
そして収穫が終わると、山に帰って、山の神になるのです。
昔の人はそう信じて、神様を丁寧に祭ったのです。

今では秋の祭りは自分たちの娯楽のためにという感じも少しするのですが、
もう一度、古来からのしきたりを尊び、さまざまな恵みを与えてくださった神様方に、
素直に、心からの感謝の思いをささげることが大切に思います。

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