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しきたり雑考

(3)端午の節句

今月は「端午の節句(たんごのせっく)」(節供とも書く)についてお話し致します。

端という漢字の意味は「はじめ」という意味で、
この節句が行なわれたのは、五月のはじめの午(うま)の日でした。
その後、午(ご)と五(ご)が同じ音なので、
五月五日の日になったのです。

この端午の節句は、現在男の子の節句ですが、
以前は女の子の節句だったようです。

この五月は田植を始める月で、
サツキにサナエ(早苗)をとって田植をする
サオトメ(早乙女)が田植の主役であり、
その田植に先立って、女の子が慎み深い一日を過ごしたのです。

この田植は穀物の霊魂を増す行為で、
以前は神事とされていて、一年のとても重要な月だったのです。

この端午の節句で思い出すのが菖蒲(しょうぶ)です。

この五月五日に、この菖蒲を軒にさしたり、
菖蒲で鉢巻(はちまき)をしたり、菖蒲湯に入る習わしがあります。

この由来は、山姥(やまうば)に追われた子供が
菖蒲の中に隠れて難を逃れたことからきているようです。

本来は菖蒲が、その匂(におい・香気)によって
邪気を払う力があったことからきているのです。

さらには、この菖蒲が尚武(しょうぶ・武事を重んじる意味)の
音が合っていることから、男の子が強くなるようにと願い、
この菖蒲が重んじられたわけです。

先にも書きましたが、この菖蒲を鉢巻にするところから、
冑(かぶと)を送り、飾るようになったとも言われています。

端午の節句の鯉(こい)のぼりです。

中国の故事に、龍門という激流の滝があって、
その滝を登りきった鯉が、やがて龍に化身していったという話があるのです。

木魚にも鯉が書かれているものがありますが、
木魚の音が激流を渡る鯉の音で、やがて龍になって悟れという意味が、
この木魚にあるのだと聞いています。

ですから、この話にあやかって、子どもたちが無事に世の中を渡って、
やがて龍のような立派な人に成長してほしいという願いが、
この鯉のぼりにはあるのです。

この鯉の上には五色の吹流しがあります。
これは一つの依代(よりしろ)で、この五色の吹流しに神(仏)を迎え、
邪気を払って、家や子を守ったのです。

神を迎えるので、
以前は、その柱は皮をはいだ清浄な桧(ひのき)や杉の木だったようです。

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