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仏事の心構え(159)

仏像の見方について 39 閻魔大王

今月は閻魔大王(えんまだいおう)です。

閻魔様は、私たちが死んでから、生前の罪状を取り調べる方で、
閻魔様のご判断によって、私たちが地獄に堕ちるか、
天の世界へ昇っていけるかという、そんな信仰を持った天の仏様で、
日本ではこうして長い間、信仰されてきました。

サンスクリットという言葉ではヤマといいます。
このヤマは、もとは天上の王でした。

昔は神や人間には罪状がなく、永遠の寿命を保っていたのですが、
時代とともに、心に汚れをつくり罪業を重ねていって、
最初に死んだのが、このヤマだったというのです。

そして最初に死んだということで、
死後の世界(冥界)を支配する王と考えられるようになったと言われています。

そんな経歴を持つヤマが仏教に取り入れられ、閻魔大王となったのです。

この閻魔様はお地蔵様と深い関わりをもっています。

お地蔵様は、地獄で閻魔様の裁きを受ける人を、
地獄と現世の境に立って助けてくれるといいます。

死後、地獄に堕ちるのは、閻魔様と地蔵様の話し合いにかかっているというのです。
ですから、日本では閻魔様が地蔵様の化身であるという信仰もあるようです。
閻魔様もお優しいところがあるのです。

閻魔様の姿は、怒ったような顔をしていて、右手に笏(しゃく)を持っています。
衣裳はゆったりとした衣(ころも)を着ています。

座っていますが、
この格好が亡くなった方の罪状を厳しく取り調べている様子を現わしているようです。

閻魔様は悪い者と分かると、
口から火を吹き、火の中から黒い縄(なわ)が出てくるようです。

善人であれば、
口から白い蓮華の花が出てきて、あたりに甘い香りが放たれるといいます。

できれば、亡くなって閻魔様の前に立った時、白い蓮華の花が出てくるといいですね。
そうあるために、この世で善を積むことです。
戒めにしております。