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仏事の心構え(141)

仏像の見方について 21 地蔵菩薩2

今月は「地蔵菩薩」の2回目です。

地蔵菩薩は、多くの人に慕われ、知っている人も多いと思います。

先月も書きましたが、
お地蔵様の特徴の一つに、頭を剃っているというのがありました。

そして基本的なスタイルは、お立ちになっていて、
右手に錫丈(しゃくじょう)、左手に如意宝珠(にょいほうじゅ)を持っていることです。

錫丈は慈悲をもって人びとを守る意味があり、
如意宝珠は、意のままに宝を出せる珠(たま)の意味です。

この宝珠は病気を治したり、また教えによって人びとを導く、
そんな不思議な珠といえます。

お地蔵様でよく知られているのが六地蔵です。
日本昔話にも六地蔵の話がでてきます。

大みそかに、おじいさんが町に笠(かさ)を売りに出かけると、
途中雪の中に六地蔵様が立っていて、あまりにも寒くて可哀そうなので、
地蔵様の頭の雪を払い、笠をかぶせ、一つ足りないので、
自分のかぶっていた手拭いを地蔵様の頭に巻いてあげて帰ってきてしまった。

おばあさんは「それはよいことをした」と喜び、
正月の餅も食べられないことに不平も言わなかった。

そんな夜、六地蔵様がお礼にと言って、
お米や野菜や宝を持って来てくれたという話です。

その宝は、きっと如意宝珠から出て来たのでしょう。

六地蔵さまは、六人の別な菩薩様でなく、
一人の地蔵様が分身して、六つに別れ、先月お話した六道の世界で、
それぞれに迷い苦しんでいる人々を救う仕事をされているのです。

六地蔵様が、どこの世界の迷える人びとを救っているかは、
地蔵様が持っている持ち物で、判断できます。

すべての地蔵様は宝珠を持っています。
そして地獄は錫丈、餓鬼は与願印、畜生は如意、修羅は梵篋(ぼんきょう)、
人間は施無畏印、そして天は経巻を持っています。
それぞれの迷いの世界で、必要とされる持ち物を持っているわけです。

来月は、この六地蔵をもう少し詳しくお話いたします。