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仏事の心構え(134)

仏像の見方について 14 弥勒菩薩

今月は「弥勒菩薩」です。

弥勒菩薩で有名なのは、京都の広隆寺に祭られている弥勒菩薩です。

私も何度もお参りしたことがありますが、
本堂に安置されているのでなく、博物館のようなところにありますので、
礼拝の対象になっていないのが残念なところです。

姿は半跏思惟像(はんかしゆいぞう)で、
椅子に座り右足を左足の上に組み、右手を頬の所にかざしています。

今度、地上に生まれたとき、
どんな救いの教えを伝えようかと考えている姿だそうです。

この姿があまりにも有名なので、弥勒菩薩はこの姿しかないと思っていましたが、
この形は奈良以前に多く、一般の形は違うようです。

一般の姿をいうと、菩薩によくあるように、宝冠をかぶっています。
そして蓮華の台に結跏趺坐(けっかふざ)し、両手に宝塔を持っているのです。

この宝塔を持っているのが、弥勒菩薩の特徴のようです。
この宝塔は、釈迦如来の遺骨が納められている仏塔をかたどったもので、
この塔に釈迦如来が宿ると考えられているようです。

弥勒菩薩はサンスクリット語ではマイトレーヤといい、
慈しみから生まれたという意味があるようです。

この菩薩で有名なのが、56億7000年後に、この世に下生して、仏陀となり、
人びとを救済するという信仰です。

そんなに遠く生まれるのなら、地球があるかどうか分からない時代といえますので、
何かこの数字には意味があって、近い将来、仏陀として生まれてくる可能性も
否定できないかもしれません。

弥勒菩薩は今、兜卒天(とそつてん)というところで
法を説きながら、修行に励んでいるようです。
この兜卒天には49のお寺(院)があり、
多くの天人が、それぞれの寺院で、学びを深めているようです。

こちらの世界から言えば、兜卒天はあの世の世界にあたります。
この世ばかりが、生きる場所ではないのです。