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仏事の心構え(118)

葬式とは何か 3

今月は「葬式とは何か」の3回目になります。

葬儀、葬式には2つの仕事があります。

1つは「グリーフケア」といって、遺族の悲しみを癒してあげるということです。
最近ではこの癒してあげるというより、支援させていただくという意味で、
「グリーフサポート」という言い方がされているようです。

このグリーフサポートは、遺族が今まで親しくしていた人との別れの悲しみを
癒してあげるお手伝いをしてあげることです。
これが葬儀の1つの大きな仕事になります。

特に、若くて亡くなった方や、事故で急に亡くなってしまったかたなど、
遺族の悲しみは大きいものがあります。

お年寄りが亡くなって、そのまま葬儀もせず、白骨になって、
年金だけもらうという人の心は、遺族の悲しみを癒すというよりも、
「人としての道」をお坊さんも常日頃から説かなくてはならいと自戒します。

もう1つ、葬儀には大切な仕事があります。
それは亡くなった方の往生、成仏をとげてあげることです。

送る人は家族や親戚の人たちがいます。
でも送られる人は一人であの世へ旅立っていかなくてはなりません。
なかなかその大変さは理解できないでしょう。

この世でも一人で知らないところへ旅行なり研修にいけば、不安でたまりません。
ですから、行き先をいろいろ調べて、準備をします。
それでも、一人で行くのは心細いものがあります。

それがまったく未知であったあの世という世界へ一人でいくのですから、
死の不安は大きなものがあるのです。

そう考えるとみんながあの世にいくためには事故もなくどのようにいけるのかや、
何を準備すればいいのかをよく考えて、生前から学び、生きていく必要があります。

葬儀という一連の儀式は、
亡き方を迷わないように浄土や光ある世界へ送ってあげることが
もう一つの大きな力になるわけです。

遺族の悲しみを癒し、亡き人の成仏をとげてあげる。
ここに葬儀の意味があります。

ですから、葬儀を執行する側の悟りの深さを思うとともに、
日々の精進を改めて感じています。