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仏事の心構え(110)

直葬 2

今月は「直葬―ちょくそう―」の2回目です。

『法愛』では、この直葬を「ちょくそう」と読んでいますが、
「じきそう」と読む場合もあります。

感じとしては、前者の方が意味合い的には合うので、「ちょくそう」で説明しています。

先月は直葬の増えている原因をあげましたが、
葬儀という儀式そのものが行う宗教心が失われてきているという危惧もあります。

人の死を描いた「おくりびと」という映画がアカデミー賞を取り、話題になりました。
1年を超えるロングランになり、観客動員数は560万人を突破したとも聞きます。

私も映画放映中に見にいきましたが、アカデミー賞を取るだけあって、結構面白く、
笑いもありまた涙をそそるところもありました。

でも宗教家なるお坊さんは出てきません。
普通に見れば、「ああ、お坊さんがいなくても、お別れはできるんだ」
と思ってしまいます。

東京に「NPO法人りすシステム」という死後の事務を行う所があるようです。
平成5年の設立で、現在約2,200人との死後事務の契約があるそうです。
(産経新聞 平成21年9月22日)

そこでは多くの人が子どもがいなかったり、
子どもや親族の世話になりたくない人たち。
また夫婦の契約もあれば、1人での契約もあるそうです。

この中で8割の人は葬儀はいらないといいます。
「周囲に迷惑や負担をかけたくない」とか「葬式に呼びたい人がいない」とか
「肉親がない」「寺との付き合いがない」など、理由はたくさんあります。

でも、葬儀という儀式の力で成仏したいとか、
往生を遂げたいといった宗教心は、まったくみあたりません。

さらに葬儀の業者さんが「火葬のみ」とか「心温まる直葬」とか
「直葬のコツ」といった直葬プランを打ち出しているようで、
その場合、葬儀代もなく、安価なので生前予約も入っていると聞きます。

来月はさまざまな人の意見を取り上げ、さらに深く考えてみたいと思います。