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仏事の心構え(104)

仏壇 4 仏壇の安置場所とその向き

今月は「仏壇」の4回目なります。仏壇の安置場所とその向きについてお話を致します。

仏壇を安置する部屋ですが、大きな家ならば仏間を特別に作って、そこに安置し、みんながそこで心静かにお参りできれば、それにこしたことはないでしょう。

お寺でも、本堂があって、そこに本尊や位牌堂があります。そのように、一般の家でも余裕があれば、仏間に安置するのがよいでしょう。

仏間を作るほどの余裕がない方は、皆が集える居間がいいかもしれません。
あるいは落ち着いた日本間のようなところでもかまいません。

なかには仏壇はお年寄りがお世話するものだから、お年寄りの部屋へ、という考え方もありますが、家族みんなが毎日気軽にお参りできる場所がよいと思われます。

仏壇の向きですが、最近は家の建て方などの諸事情によって、細かいことは言わなくなりましたが、それでも常識として知っておかなくてはならない方角を書いておきましょう。

まずは南向きがあります。

理由としては日当たりのよい場所という考えもあり、また中国からの伝統で、北を背にし、南向きで政事(まつりごと)を行ったというところからきているという考え方もあります。

ちなみに臨済宗では、本堂は南向きに建てるというのが基本(場所の事情なので、南向きでない本堂もあります)になっています。

また東向きもあります。

これはお参りするときには西に向かうことになり、西方にある極楽浄土に手を合わせてお参りしていると同じになるから、という考え方もあります。

もう一つは西向きです。『法華経』というお経の中にでてくる因縁によるものです。

お釈迦様が法華経を説かれたときに宝塔が現れ、その宝塔のなかに多宝如来(たほうにょうらい)が座していて、そこにお釈迦様を招かれ、ともに東を背にし西に向いて座していた、というところからきているようです。

向きも大事でしょうが、要は「思いやり」という方角が一番よいでしょう。