ホーム > 法愛 4月号 > 仏事の心構え

仏事の心構え(83)

年忌法要

今月は「年忌法要」についてお話し致します。

先月は四十九日忌法要のお話を致しました。この法要は四十九日で終わりでなく、年忌法要としてしばらく続いていきます。 年忌とは命日に行う亡くなった方のために冥福を祈る仏事ですが、 百カ日から、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌と続きます。二十三回忌と二十七回忌を二十五回忌として営むこともあります。

法要を営むことは、なかなか大変なことですが、一年に一度、誕生日がきて、その誕生日のために、家族みんなでお祝いをするように、 この年忌法要もそう考え、自らの勤めとして行うことが大切です。

考えてみれば、毎年おこなうのでなく、三と七の付くときですから、四年から六年の間隔でくるので、そんなに大変なことはないでしょう。 家の都合で、ご親戚をよんで営むのもよし、家族だけで冥福を祈るのもよいでしょう。 そのとき菩提寺の和尚さんに導師をお願いするのは言うまでもありません。 なかにはお坊さんも頼まず、家族だけでする家もあるようですが、たとえてみれば資格を持たない医師に病気をみてもらうのに似て、私はあまりお勧めしません。

どうしてもできなければ、塔婆だけでも菩提寺にお願いして、亡き方の冥福(あの世での幸せ)を心をこめて祈りましょう。それが家の繁栄にも通じていきます。

庶民仏教の立場で言えば、人はこの世の数十年の人生で、煩悩という汚れをずいぶん心に付けているので、 亡くなってからその汚れを浄化するのに、平均約三十三年かかるといわれています。

 その心の浄化をお手伝いするのが年忌法要なのですが、三十三年目にして心の浄化が成され、神仏の心と一つになり、祖霊として家を守る力を持つと考えるのです。 ですから三十三年忌が「弔(とむら)いあげ」とか「問い切り」といって、その方の法事を終わりにするところもあり、昔はお赤飯を炊いたようです。

 それ以降は亡き方の徳を偲ぶとともに、見えない存在(神仏)に感謝をささげ、また家の繁栄を祈る法要とします。