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お釈迦様の生涯

死の予言

イラスト・山中一正

仏陀は托鉢を終えて食事をすませてから
チャーバーラ霊樹のもとに赴いて
弟子のアーナンダに告げた

アーナンダよ いかなる人であっても
四つの不思議な霊力を修めているものが
もし望むのであるならば
寿命がある限りこの世に留まるであろうし
あるいはそれよりも長い間
留まることができるであろう

このように仏陀がアーナンダに告げても
アーナンダはその深い意味を察することができず
仏陀に
尊い方よ 寿命のある限り
この世に留まってください
多くの人びとの利益と幸福のために
世間の人びとを憐れむために
神々と人びとの利益と幸福のために
そう言って仏陀に願うことをしなかった

それはアーナンダの心に
悪魔が憑(つ)いていたからである

アーナンダが去って後
悪魔は仏陀に近づいて言った

仏陀よ 
今まさにニルヴァーナにお入りください
あなたはかつて
あなたが清浄行を成就され
栄え広がり 多くの人に知られゆきわたり
神々や人びとによく説き明かされない間は
ニルヴァーナに入らないであろうと言われました
しかし今それがすべて成就しています
今こそ仏陀よ
お亡くなりになるときです

仏陀は悪魔に言われた
悪しき者よ 汝は心あせるな
久しからずして修行完成者はニルヴァーナに入るであろう
今から三カ月過ぎて後
修行完成者は亡くなるであろう

※ニルヴァーナは涅槃で、仏陀が亡くなるという意味