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お釈迦様の生涯

釈尊の願い(124)

イラスト・山中一正

世の無常を知る

仏陀より許された尼僧教団には
さまざまな女性が入ってきた
その中にキサーゴータミーという女性がいた
彼女は貧しい家の子で痩せていたので
キサー(やせた)と呼ばれた

彼女は年頃になるとお嫁にいき
そこで男の子を生んだ
男の子を生んだので敬意も払われるようになったが
可愛い盛りに子は死んでしまった

悲しみに理性を失った彼女は
死んだ子を抱いて生き返る薬をくださいと
必死で乞い願い 家々を歩いてまわった
しかし誰もそんな薬を見たこともなかたので
この女は狂っているのではないかと
みんなは彼女を馬鹿にしたように笑った

そんな様子を見ていたある者が
仏陀ならその子を救う薬を教えてくれるかもしれない と問いかけた ゴータミーはそれを信じて 仏陀の元へ行き同じように薬を乞うた

仏陀は静かにほほえんで説いた ゴータミーよ この町の家々を回り 死者を出したことのない家から 白い芥子の実をもらってきなさい それを聞くと彼女はさっそく家々を回り 芥子の実を乞い歩いたが死人のない家は一軒もなかった

そんな体験を通して ゴータミーはこの世の無常を知った 生まれてくるものは必ず死ぬべきもと そうして我が子を墓所に葬り安らぎを取り戻した

ゴータミーは仏陀のもとに行き 町には芥子の実はなく無常を知ったことを語り 出家をこいねがった

出家を許されたゴータミーは熱心に修行を積み 大いなる悟りを開いたという