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お釈迦様の生涯

釈尊の願い(122)

イラスト・山中一正

仏教教団の姿

コーサラ国のパセーナディ王は
仏教の信者にはなっていたが
それは形式的なもので信心は篤くはなかった

しかし長年仏陀の行いや出家教団の姿を見て
仏教の偉大さを知るようになり
深い帰依心をおこすようになっていった

仏教教団でない他の宗教者は
長年修行していても
世間の欲楽にふける者が多かったが
仏教の出家者はいつも清らかな生活を送っていた

世間の人たちは
夫婦や親子などの家族であっても
仕事仲間や友人であっても互いに不平を言い合い
争(あらそ)うことが普通であるのだが
仏教の出家教団の人びとは
いつも和合し互いを尊重し敬いあっていた

他の宗教者たちは修行しているとはいえ
その姿は醜(みにく)く
尊敬できるようなものではなかったが
仏教の修行者たちは
顔色もうるわしく大らかで柔和な姿をしていた

他の者の修行の場や儀式においては
形式的で騒がしく有り難みにかけていたのに
仏教の出家教団においては
仏陀が説法される時に
咳(せき)一つ起こることなく
静かで威厳のある趣(おもむき)が漂っていた

仏陀の弟子になって修行していると
悟って阿羅漢(あらかん)になったといっている人を
そうかもしれないと誤って判断していたのが
そうではないと正しく判断できるようになった

そんな様子を冷静に見ていたパセーナディ王は
仏陀が率いる仏教教団の偉大さを知り
仏陀に心から親愛の思いを抱いた