お釈迦様の生涯
釈尊の願い(121)
父王の死
仏陀の父王シュッドーダナは
97年の生涯を閉じた
自分の息子が仏陀となったのは
喜びであったが
次から次へとまわりにいる者達が
出家をしてしまう現状を見て
きっと一人寂しい思いを
抱かずにはいられなかったであろう
父王の危篤を聞いた仏陀は
急いでカピラの城に駆けつけた
息子である仏陀が近づくと
父王はその光明に癒され病の苦しさから解放された
すでに声も出せなく弱っていた父王に仏陀は
その手を父王の額の上において
最後の説法をされた
死を恐れることはありません
あなたの徳は清らかで
心の汚れがなくなっていますから
きっと天のみ国へ生まれることでしょう
今までの教えを心に思い浮かべ
心安らかにゆったりとした気持ちで
この最期の時を過ごすのがよいでしょう
父王は笑みをたたえ
自分の生涯が幸福であったことを思い
合掌して亡くなっていった
葬儀にあたって仏陀は
後世の人びとの心が乱れ
父母の恩に報いようともしない
不幸者が出ることのないようにと
自ら棺(ひつぎ)を背負い父王を送った
決して仏陀は葬儀を否定したわけでないのだ
父王は死んで後どこへ生まれるのですか
という問いに 仏陀は
父王は清らかな人であったから
そんな人が住まう浄居天(じょうごてん)に
生まれるであろうと説かれた