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お釈迦様の生涯

釈尊の願い(116)

イラスト・山中一正

コーサラ国への伝道

マガダ国と隣接する
コーサラ国へと伝道を広げていったのは
仏陀成道の後 十数年後であると言われている

この国には他の宗教
すなわち外教(がいきょう)の力が大きく
一般の人びとを教化するのには
ずいぶん時間がかかったようだ

コーサラ国の首都サーヴッティーに
祇園精舎を建て伝道を開始したのだが
外教の人びとの
反感と敵意は相当なものがあった

どの宗教も新しくできると
古い宗教勢力に敵意を抱かれ
迫害を受けるのが歴史の常道である
何年もその敵意に屈せずに

正しい教えを説いていってこそ
やがて認められていくのかもしれない

この国の王妃マッリカーは
後に熱心な仏教を信奉する者となったが
最初は外教の人びとに園林(おんりん)を寄進し
その園(その)はマリッカー園(えん)と言われ
たくさんの遊行者が住んで修行をしていた

そんな首都に入った仏教者たちは
新しい宗教として非難され
人びとがこの宗教に入らないようにと
さまざまないやがらせをした

仏陀と語るゴータマの教えは取るに足らず
我らの教えの良い所を取って語っているにすぎない
とまで言い放っていた

やがて仏陀と外教の者たちとの論戦が始まった
仏陀の法の力と神通力は優れ
外教の人びとをことごとく打ち負かした
この結果「仏陀は偉大な宗教家である」という名声が
急速に広まっていった