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お釈迦様の生涯

釈尊の願い(105)

イラスト・山中一正

スダッタの帰依

ラージャガハに一人の豪商がいた

彼の妹を妻としていた
コーサラ国に住むスダッタが
商用でこの町にやってきて彼の家に泊まった

スダッタも豪商でしかも慈悲深く
親のない孤児や老人の面倒を見て
彼らに衣食を施していた

そんな彼をみんなが慕い
アナータピンダカ(孤独なものに食を給する人)
というあだ名で呼ばれ
尊敬を集めていた

スダッタが泊まった家では
その日大がかりな食事の用意をしていた
スダッタが国王でも招待するのかと尋ねると
明日の朝 仏陀をお招きするのだという

仏陀がこの世に・・・
驚きをもってスダッタは叫んだ

仏陀という言葉は
悟れるものとして憧れの存在で
三千年に一度咲く優曇華(うどんげ)の花のように
この世に現れるのは極めて稀であると言われていた

できれば仏陀に逢いたいと願っていたスダッタは
仏陀という言葉を聞いて
逢いたくてたまらなくなった

明朝まで待てないスダッタは
夜遅くに仏陀を訪ねてみた

仏陀はスダッタを見ると
初対面にも関わらずスダッタの名を呼び
施論(せろん)・戒論(かいろん)
天生論(しょうてんろん)を説いた

スダッタはその真理を理解し
仏陀であることを素直に信じ帰依するのだった

この大富豪は後に祇園精舎を寄進する